1988年12月4日の日曜日、アメリカのシカゴに居りました。ピッツバーグ、クリーブランドなどでプレゼンテーションを行いながら、シカゴに達しました。海外出張では日曜日もプレゼンテーション資料の作成などに追われ、余暇をゆっくり楽しむ機会はほとんどありませんでしたが、この日は珍しく、シカゴを楽しむことが出来ました。他のメンバーは博物間めぐりをしようということになりましたが、鉄道ファンとして、有名なシカゴLoopを訪れたいと単独行動をすることになりました。しかし、この地は禁酒時代、マフィアの大親分アル カポネが活躍したところ!一人で歩いて大丈夫?とちょっと懸念をしましたが、同行の商社の駐在員からLoopを中心としたダウンタウンは一人で歩いても、危険ではない。但し、電車には絶対乘ってはいけないと言われました。電車の車内はそんなに危険なのか?と思いましたが、電車に乘ると、Uneducated peopleに見做されるからとのこと。電車に乗るのは車も買えない低所得の人々。だから、Educated peopleは乘るものではない。ほかに、マックに入ってはいけない!ボーリングが好きだとか、やっていると言ってはいけない。とアドバイスを頂きました。
 あまり納得出来ませんでしたが、業務出張中、事故やトラブルを起こすのは避けねばならないので、アドバイス頂いたとおり、電車には乗らず、徒歩で、Loopとその近くから出ている鉄道を巡ることにしました。


シカゴ中心部とLoop、South Shore Line 、Metra ME線 Google Mapにより作成 

Loop(Chicago L)


       ChicagoL  Randolph/Wabash  1988-12-4


シカゴ市の中心部、東西500m、南北900mの道路上に作られた高架環状線で、鋼鉄の橋脚、橋桁がむき出しで、その幅は複線線路の幅しか無いようで、下の道路から電車の床下が見えます。山手線、大阪環状線に比べ、遥かに小さく、東西5ブロック、南北9ブロックのダウンタウンを循環するもので、郊外から、6系統が乗り入れて、循環して、帰ってゆくものです。 1892年に開業。Loop部分が地下鉄になる2系統を含め、8系統をシカゴ交通局(CTA)が運営しています。
軌間1435mm、直流600V、第3軌条集電、最高速度89km/h。なお、Loopはこの高架鉄道に囲まれたダウンタウンの中心部を指すことが多く、高架鉄道自体はChicagoLと称するようです。


ChicagoL State/Lake~Randolph/Wabash間を行く外回り電車(後尾)  1988-12-4


ChicagoL State/Lake~Randolph/Wabash間を行く外回り電車(先頭)  1988-12-4


ChicagoL State/Lake~Randolph/Wabash間を行く内回り電車  1988-12-4

最小曲線半径: 27.432 mの急カーブを行く電車です。道路上に建設した高架ですので、コーナーのカーブはきつくなります。


ChicagoL Randolph/Wabash駅に停車中の外回り電車(先頭)  1988-12-4

ホームは対向式で、薄い木板を敷き詰めているように見えました。日曜日の昼下がり、乗客は少なく、のどかで、車内も空いており、ちょっと、乗ってみたい誘惑にかられましたが、自制しました。

South Shore Line


South Shore Linen の一階建て電車 (South Bend側) ランドルフ・ストリート             1988-12-4


South Shore Linen の一階建て電車 (Chicago側) ランドルフ・ストリート             1988-12-4


ランドルフ・ストリート駅構内                  1988-12-4

シカゴの目抜き道路、ミシガン大通りのミシガン湖側にランドルフ・ストリート駅があり、South Shore Lineの電車が出ていました。ミシガン湖の南岸に沿って走り、インディアナ州South Bendに達するインターアーバンの生き残りのようです。市内は道路上の併用軌道をはしり、郊外に出ると専用線を高速で飛ばし、100kmぐらいの都市間を便利に結んでいた電氣鉄道で、この線もかってはシカゴ市内は併用軌道であったようですが、今ではシカゴ市内はMetra ME線の線路を走っています。しかし、インディアナ州、ミシガン市内では併用軌道を走り、2つの停留所があり、電車には車端にステップの出る1枚扉、中央に高床ホーム専用の2枚両開き扉があります。
 電車の幕板にはChicago South Shore and South Bend Railroadと大書してありましたが、翌年1989年にはこの鉄道は破産し、旅客輸送は分離され、インディアナ州北部通勤輸送公団により、運営されています。
 ところで、この電車の顔つきは日本の電車の雰囲気があると思っていましたが、ヴィキペデイアを見てみましたら、1982,3年に日本車両で製作されたものと分かりました。この線の電車は日本車両により、作り続けられ、ハイライナーと呼ばれる2階建て電車が増備されています。
 ランドルフ・ストリート駅は構内は広々としていましたが、本屋もなく、ミシガン大通りから直接乗降する跨線橋があるだけでした。
 現在、この駅の上にミレニアム・パークが作られ、地下駅 ミレニアム駅になったようです。既に、この構想があり、当時の駅は仮駅だったのかも知れません。

Metra ME線


Metra ME線の二階建て電車 ハイライナー  ランドルフ・ストリート             1988-12-4

 ランドルフ・ストリート駅のミシガン大通り寄りのホームからはシカゴとその近郊を結ぶ通勤輸送を担うMetra(シカゴ都市鉄道局)の電車線、ME線が発着しておりました。ハイライナーと呼ばれる2階建て電車で運行されていました。これは中央の通路が吹き抜けになっており、1階の通路から車掌が2階の乗客の検札も出来るようになっておりました。これは検札だけでなく、車掌の目が2階にも届き、車内の治安も維持できるとのことです。伝統的にアメリカの鉄道は車掌に巨漢を採用し、車内の秩序を保ってきたようです。だから、このような構造が取れたのでしょう!
 この電車も日本車両製で顔つきもマイルドですが、最近のハイライナーはMetraの他の非電化線のプッシュプル列車のステンレス2階建て客車と同じく、高い2階建ての妻面が両端にも延びており、切妻で味気ないご面相になっているようです。日本車両が作ることが多いようですが、コスト面もあり、段々、アメリカンナイズされていったのでしょう。
 
他にMetraは10の非電化路線を持っておりましたが日曜日はすべて運休でした。

参考ウェッブサイト
  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 「 シカゴ L,」 「サウスショアー線」「メトラ (Metra)」 

(2020-6-23)




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