ロッキー・マウンテニァ号の2日間

 カナダ旅客鉄道公社VIArailが運行するカナディアン号は途中、夜行になりますが、ロッキー・マウンテニァ号はバンクーバーーバンフ、カルガリー間、バンクーバーージャスパー間を昼間のみの運転で、途中のカムループスではホテルに一泊するという観光列車です。4月から10月中旬、週三日運転されます。今回、バンクーバーーバンフ間の移動に利用しました。ファーストクラスのGold Leafクラスは高かったので、普通車Red Leafクラスで我慢しました。

 

 9月6日 バンクーバー7:30PT発−カムループス(途中宿泊地)17:35PT着 運行距離 460km

  9月7日 カムループス6:30PT発ーバンフ19:00MT着              運行距離 515km

というスケジュールです。(バンフはマウンテンタイム、MTでバンクーバー、カムループスのパシフィックタイム、PTより1時間遅れになります。) 合計運行距離975kmにもなり、丸2日、列車に乗り詰めになります。いくら鉄道が好きでも、いささか、しんどいのではないかと 、インターネットで予約したものの心配していました。 

しかし、杞憂で、全く退屈せず、楽しめました。

 以下、ビデオ取り込みの画像で、画質はよくありませんが、ロッキー・マウンテニァの二日間を一寸お付き合いください。

 

ロッキー・マウンテニァ バンクーバー駅                         駅内でチェックインする乗客達

 

 6日、早起きをして、6時20分には駅に着きました。2003年4月に独自の駅を作ったとのことでしたが、週3回運行の列車用としては立派な駅舎でした。チェックインカウンターは既に開いており、予約のE-mailのコピーを提示することで簡単に乗車券、宿泊バウチャー、それに案内資料が渡されました。コーヒー、パン、果物などがカウンターに用意され、出発前に軽く、腹ごしらえが出来ます。

 

牽引機GP40−2重連                                                  電源車

 

 列車は既にホームに入っており、22両の客車をディーゼル電気機関車(DEL)ClassGP40-2重連で牽引しています。この機関車は出力3000HP(2250kW)、動軸Bo-Boです。カナディアン・ナショナル鉄道(CN)のセコを更新したものです。何故か、ボンネットの扉が開いており、カムループスでもこのままでしたので、開けたまま、走っていたようです。冷却の問題でもあるのでしょうか?機関車の次に客車にサービス電源を供給する電源車がありました。

 

Gold Leafクラス用2階建て客車                                     そのオープンデッキ

 

 編成の真ん中にはGold Leaf Class2階建てドームカーが7両連結されていました。高さの限界が大きいようで、2階部分は普通車の屋根より完全に高くなっており、窓も大きく、快適に景色が楽しめそうです。階下はダイニングルームになっています。

 

普通車Red Leafクラス客車                                                 後尾電源車

 

 普通車の客車は1950年にCNが大陸横断列車用に作った客車を更新改造したものもあるとのことのことです。 車長26m、新幹線とほぼ同じ大きさです。座席は、700系の普通車より、やや広いリクライニングシートです。Gold Leaf用客車はアメリカの車両会社で新製したものとのことですが、北米では珍しく、ステンレス車体ではありません。普通車は更新したメーカーの技術が劣るようで、外板にシワが見られます。カナディアン号に比べ、車両は一寸、見劣りします。

 

地上係員のお見送り                         バック運転で駅舎の前を通過

 

 8時ジャストに発車。チェックイン業務などをしていた駅係員が揃って見送りして呉れます。しばらく、低速運転をしてから、バックし始め、再び、駅舎の前を通過します。

 

フレーザー川旋回橋                      旋回橋を渡るロッキー・マウンテニァ号

 

 ようやく、速度を上げ、バンクーバーの近郊を走ります。最高速度60mile/h(約100km/h)とのことですが、のんびり走っている感じです。直ぐ、最初の見どころ、フレーザー川に架かる旋回橋を渡ります。鉄道橋は低いので、船を通すため、中央部が旋回して開くようになっていますが、上を走る道路橋は旋回しないようです。左上の写真の上部の黒いものはスカイ・トレーンの高架線です。22両の長い編成は乗車した1号車から、後尾が良く見えます。

 

フレーザー川峡谷

 

暫くはゆったり流れるフレーザ川に沿って、緑の畑や牧場が車窓に流れていましたが、やがて、山が迫り、峡谷に入ります。

緑豊かで、日本の峡谷とも似ています。

 

朝食(サンドイッチetc)                         昼食(サーモンステーキ)

 

 各車両には一人のアテンダントが乗務しており、沿線の車窓を細かく説明して呉れます。1号車は中国系ベトナム人の2世の中年女性で、細かいサービスをして呉れます。45名定員で35名程度の乗客ですが、朝食、昼食のサービス、ロッキー・マウンテニァアイテムのお土産品の販売、到着地のバスの手配まで一人でこなします。ソフトドリンクは追加料金不要ですが、ビール、ワインなどアルコールは全て6ドルです。食事以外に10時、15時にティータイムがあり、スコーンなどの軽食がサービスされ、車端にはいつでも摂れる果物が置いてあります。Red Leafサービスで十分な感じです。

 観光列車ですので、車窓を細かく説明して呉れ、撮影ポイントも知らせてくれます。 

 

CNの渓谷を渡る鉄橋                 荒涼としたトンプソン川渓谷に入る。

 

 列車は渓谷の左岸を走っていましたが、やがて、鉄橋で右岸に渡りました。ほぼ、同じ地点で、右岸から左岸に渡るレールがありました。カナダの大陸横断鉄道には、1980年代に最初に開通したカナディアン・パシフィック鉄道(CP)とカナディアン・ナショナル鉄道(CN)の2本があります。CPより30年後に開通したCNは峡谷で線路が敷きやすく、落石なども少ない場所を選んで、 既に建設したCPの隣に線路を敷く場所がありませんでしたので、対岸に敷かざるを得なかったようです。依って、CPが安全な岸を選んで、右岸に渡ると、CNは同じ場所で左岸に移らざるを得なかったようです。

 やがて、列車はトンプソン川の渓谷に入ります。半乾燥地帯とのことで、樹木がまばらになり、荒涼とした風景が車窓に展開し始めます。

 

 

CNの線路を走るCPの西行貨物列車

 

 木々が少ないので、対岸を走る列車が良く見渡せます。この区間はCP、CNとも単線で、CPの線路を東行列車、CNの線路を西行列車用として、双方の列車が走って 複線運用しているのことでした。上はCN線上を走るCPの1マイルトレーンと呼ばれる長大貨物列車です。本当に1.6kmあるかは分りませんがなかなかシッポが見えてきません。牽引機関車はインバータ駆動F形(動軸配置CoーCo) GE 4400CW、出力4400HP(3300kW)重連なのかも知れません。CPはこの機関車を最も多く、保有しているようです。安全な高みに敷かれたCPの線路を行く列車からは良く見渡せますが、それにしても、今にも落石のありそうなところを走っています。この線路は、貨物列車だけでなく、バンクーバー行のカナディアン号、ロッキー・マウンテニァ号も走ります。バンクーバーからジャスパー、バンフ方向の列車に乗った方が安全なようですね。

 

右岸の自社線を走るCP東行貨物列車

 

 トンプソン川の川幅が広くなると列車は再び左岸を走ります。ふと、気がつくと、右岸をCPの東行列車が走っています。双方の線が複線になり、貨物列車は自社の線路を走るとのことでした。ロッキー・マウンテニァ号は 左岸のCNの線路をカムループスまで走ります。

 

カムループス湖                    湖岸のカーブで、列車後部を見渡す

 

 やがて、細長いカムループス湖に沿って走ります。湖岸のカーブで列車が見渡せます。

 

カムループスのヤードの謎のロッキー・マウンテニア号                   翌7日のカムループス駅        

 

 宿泊地カムループス駅の場外で長い信号停止です。しかし、ここまで、列車はバンクーバーから全く停車していないのです。機関士は2人以上乗務しているのでしょうが、9時間の間、機関車の中に居たことになります。この機関車にはトイレもついているのでしょうね。複線運用で、運転ヘッドもそう短くな く、駅、信号所もないので、走りっぱなしでよいわけです。長大貨物列車なんて、一旦停止したら、牽き出しが大変でしょう。機関士は一日機関車の中で、過ごすことを覚悟して、乗務するのでしょう。日本や欧州ではとても考えられません。

 長い場外停止は、他のロッキー・マウンテニァ号が行く手を阻んでいたことによるようでした。この列車がヤードに引き上げるのが、見えました。しかし、この列車にはGold Leaf用ドームカーが連結されていません。謎の列車です。

 

 ロッキー・マウンテニァ号はthe Great Canadian Railtour Company (Rocky Mountaineer Vacation) という会社が運営し、90両の車両を所有しています。その内、9両は機関車、Led Leaf用客車の内、33両は1950年代にCNが作ったものを更新改造したもので、Gold Leaf用ドーム客車は16両あり、1995年から2007年にかけて新製したとのことです。

 車両基地はここカムループスにあるのかもしれません。

 

 カムループス駅に20分遅れで到着です。車両ごとにバスが横付けされ、効率よく、乗客をバスに乗せます。1号車の乗客は全て同じホテルです。アメリカのモーテルチェーンのホテルでした。10分で到着です。部屋も大きく、快適なホテルです。

 翌朝6時30分に同じバスがピックアップし、1号車の横に止まりました。7時00分出発でした。

 

シューシュワップ湖                        レベル・ストーク

 

 列車はCPの路線に入り、一転して緑濃い高原を走ります。保養地として名高いようですが大きなシューシュワップ湖を下に見て走ります。やがて、 レベル・ストークに停車します。ここから、フィールドまでは落石、雪崩も多いので、この線区専門の機関士に代るとのことです。                        

 

コバルトブルーのコロンビア川                        エメラルド湖  

 

 カナディアン・ロッキーが近づく従い、川の色はコバルトブルーになります。岩粉(Rock Flour)が川に溶け込み、光の反射によりこのような色を出すのだそうです。エメラルド湖も眼下に現れます。

 

CANADIAN PACIFICの古い客車 フィールド

 

 フィールドにCPの古典客車がありました。レストラン・カーとして、営業しているようでした。こんな客車で旅をしてみたいものです。そういえば、CPでは英国女王やチャーチルが乗った貴賓車を修繕・復活させ、貸切に応じるそうです。如何ですか?

チャレンジして見ては??

 

スパイラルトンネルに向かう          上の信号所で交換を待つ貨物列車

 

 いよいよ、スパイラルトンネルに向かいます。上の信号所で、霧雨の中に交換を待っている貨物列車が見えます。

 

スパイラルトンネル上部を走るロッキー・マウンテニァ号

 

残念ながら、スパイラルトンネルを出た直後、下に見える線路を撮るのには失敗してしまいました。上の写真は後の10日の参加したツァーで展望台から撮影したスパイラルトンネルを出て、上部の線路を行くロッキー・マウンテニァ号です。写真には写っていませんが右下にトンネルの入口があります。CPが1886年この区間を開通させた時は4.5%(45パーミル)の急勾配で、度々、事故が起きたそうです。1907年にスイスのトンネルをモデルにして、スパイラルトンネル(ループトンネル)を建設し、勾配は2.2%(22パーミル)に緩和されたそうです。

 このトンネルを抜け暫く登ると北米大陸大分水嶺のスティーブン(キッキング・ホース峠)です。海抜1、626mとこの線の最高所です。カナダの大陸横断鉄道が日本の鉄道の最高所の野辺山より遥かに高いところを通過しているとは思いませんでした。

 又、これより、東を流れる川は大平原を延々と流れ、大西洋に注ぐということもすごいことに思われます。バンフを流れるボウ川もカルガリーを潤し、延々と流れ、セント・ローレンス川に合流するのだそうです。

 

キャッスル山                         バンフ到着

 

 キャッスル山が雲の間から顔を出し、迎えてくれました。雨の中、バンフ駅に定時19時ジャストに到着です。ホテルまでのバスを予約していましたので早速乗り込みます。通過する貨物列車の2段積のコンテナ車がロッキー・マウンテニァの屋根の上に見えます。チェックインしたバックはすばやくホテルに配達され、部屋で待っていたのは吃驚しました。

 十二分に満足した二日間でした。

 乗客はカナダ、アメリカ以外に英国などのヨーロッパの人もおり、インターナショナルです。しかし、普通車Led Leaf Classでも老夫妻が多く、鉄道旅行というのはシニアの趣味のようでした。

 

バンフ駅(本屋)                            バンフ駅(ホーム側)

 

 バンフ駅は大きくありませんが、スイスの駅のような雰囲気で、カナディアン・ロッキーの玄関口としてはぴったりのものでした。

グレィ・ハウンドのバス ディーポも兼ねております。

 

バンフ駅を発車するロッキー・マウンティニァ、バンクーバー行   2007-9-11

 

 バンフ滞在の最後の日の朝、バンフ駅でバンクーバー行を見送りました。駅のはずれの踏み切りの遮断器は列車がバンフ通過として設定してあるようで、ロッキー・マウンテニァが駅に進入すると、遮断器が下りてしまいます。機関士が出てきて、5分ぐらいの停車中、手で遮断器を上げて、車を通していました。

 北米の鉄道らしく、カラン カランと鐘を鳴らし、低いダブルタイホーンを長く響かせ、出発してゆくのは印象的でした。

 

(2007-10-2)


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