海外出張で、鉄道に乘る機会はほとんどありません。1995年2月に台湾の高雄に出張したときは、帰路の航空便の予約はしていなかったので、台北まで、鉄道で移動することになりました。切符を買う時間は取れませんでしたので、ホテルのコンシェルジュに依頼し、取ってもらいました。2月10日の朝、どんな電車が待っているか?期待に胸を膨らませて、高雄駅に向いました。待っていたのは、切妻の不愛想な顔つきの電車でした。


EMU100形、自強号 台北行          高雄             1995-2-10


ClaphamJCT駅を出発するロンドン近郊電車       1984-4-30

どこかで、見た顔?英国出張の時、お目に掛ったロンドン近郊電車です。とすれば、この電車は英国製??EMU100形は1978年英国GEC製、電氣方式 25kV-60Hz、基本編成1Mー4T(制御電源車+電動車+付随車x2+制御車)、編成出力1、275kW。2ユニット連結ー10両、もしくは3ユニットー15両で西部幹線、自強号として最高速度120km/hで台北~高雄間を4時間10分で走破しました。なんと、釣りかけ式です。既に1958年にはWN駆動の近鉄ビスタカー、中空軸並行カルダン駆動の国鉄ビジネス電車特急「こだま」が走り始めておりましたので、唖然としました。電動車の数を多くして、加速性能を上げ、高密度運転を行う日本と違い、1台の電動車に出来るだけ多くの付随車を牽かせ、コストダウンを狙う欧州と、同じ電車と言ってもコンセプトが大きく異なるようです。約320kWの電動機を装荷するのには釣りかけ式にせざるを得なかったようです。


DR3000形気動車            高雄             1995-2-10

 DR3000形は1990年日立製液体変速機気動車です。3両編成。東部幹線、南廻線の自強号として、運用されていました。


米国製ディーゼル電氣機関車R20形に牽かれる客車列車             高雄     1995-2-10


入れ替え用ディーゼル機関車S200形S203に牽かれる客車。             高雄     1995-2-10

米国製デイーゼル機関車R20形が特急用3等客車スハ44に似た日本製客車を牽引する非電化線区の普通列車が到着しました。これはデイーゼル発電機で発電し、モータを廻すディーゼル電氣機関車(DEL)と思われます。最高速度100km/h。
入れ替え用米国製ディーゼル機関車S200、S203に牽かれる客車は車庫への回送でしょうか?


貨物列車牽引のE300形 E305 電氣機関車   高雄             1995-2-10

E300形交流電氣機関車は米国GE製。軸配置C0’C0’、総出力2.800kW 最高速度110km/h、サイリスタ位相制御で無段階で加速できるので、粘着力は優れているものと思われます。1978年にE200形と同時輸入、E200形は客車エアコン用電源の交流発電機を搭載しているが、E300は一部を除いて搭載していない。貨物用と思われます。1980年からE400形を輸入、エアコン用交流発電機を搭載し、ギャー比を小さくして、最高速度130km/hに上げていますので、旅客」列車牽引用と思われます。しかし、旅客列車は電車で運転されることが多く、ギャー比を200、300形と同じくして最高速度110km/hにしました。結局この3形式は性能、外観とも同じものになり、総勢97両になりました。

     
高雄駅構内風景               1995-2-10

 高雄駅のホームは日本時代に作られたようで、国鉄の駅とそっくりです。


高雄駅本屋               1995-2-10

高雄駅本屋は日本時代の作られた歴史的な建築のようですが、派手なサインボードが目を引きました。

台湾鉄路管理局の車両は変化に富んでいますね。古くは米国とのお付き合いが深く、ディーゼル電氣機関車(DEL)を導入し、戦後の輸送の主力になったようで、このつながりからでしょうか?GE製の電気機関車を大量に購入し、高速旅客列車の運転も考えていたふしがあります。はたまた、英国GECから自強号用の電車を輸入しました。以降、コストパフォーマンスを優先したのでしょうか?南アフリカ、イタリアのマイナーな車両メーカ、韓国製のプッシュプル列車など多彩です。日本のメーカでは日立と日本車両とのお付き合いが長いようですね。最近はカーブの多い東部幹線に日立のA-train、JR九州885系をベースとした振り子電車、更に新しい車体傾動装置を持った日本車両製の電車により、カーブもスピードアップ出来る列車を走らせているようです。電車だけを見ても、電動車の少ない、動力集中式とも考えられる欧州タイプのものと、電動車の多い日本のタイプが共に走っているのはここだけではないでしょうか?

謝辞
 
台湾の鉄道に造詣の深い清水敏史さまにいろいろご教示頂きました。深謝致します。
参考 ウェブサイト

  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 台湾鉄路管理局など
  

(2020-4-30)


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