八十路に近くなり、足腰がおぼつかなくなりますと、旅に出かけるのも、やや億劫な気分になります。でも、やはり、自分の生きているところと別の雰囲気のところに身を置きたいと思いました。しかし、どうしても、暖かく、比較的近くで、ゆっくりしたいということになります。とすると、ハワイなんていうことが考えられますが、オアフ島は気候は良いが、退屈!他の島は足の便が悪い!好きな鉄道もない!結局、香港に4泊のお気軽な旅に出かけました。沖縄本島と同じところに700万人がひしめき合うというところは、のんびりとは程遠いのですが!
中国の春節(今年は2月8日)が過ぎて、航空券も安くなった2月18日(木)羽田10時5分発JL029便に乗り、約5時間で香港に着きました。空港からはエアーポート・エキスプレス(AEL)で22分、九龍(Kowloon)駅、無料シャトルバスで、地下鉄(MTR )佐敦(Jordan)駅に到着です。この駅の真上にある中級ホテルPrudential Hotelに4泊しました。九龍地区の中心の尖沙咀(Tsim Sha Tsui )の隣の駅で、メインストリート.彌敦道Nathan Rd)に面しており、何処に行くのにも便利です。空港のMTR窓口で、一人75HK$(約1100円)のシニア・オクトパス(Senior Octopus)を求めました。これは香港版Suicaで、AEL以外の香港内の地下鉄、トラム、バス、フェリーなどにワンタッチで乘れます。シニア用はかなりの割引料金で利用できます。これを使い、気ままに歩き廻れました。
22日(月)は12時チェックアウトでしたので、午前中、街歩きなどをして、地下鉄で青衣(Tsing Yi)駅まで来て、AELに一駅乗り、空港にお安く行きました。15時40分発JL026便で羽田に戻りました。帰りは追い風で、3時間ほどのフライトでした。
 格別のスケジュールもなく、朝、ホテルの近くの茶餐庁(喫茶店&ファミレスのような店)で、ボリュームのある早餐(モーニングセット)を食べながら、さて、何処に行こうか?なんて考えました。
 香港に行かれた方は多いと思いますので、珍しくもありませんが、この気楽な旅で訪ねた香港の様子をお伝え致します。

トラム(香港電車)

 香港島の北側のメインストリートを西の端から東端まで走るダブルデッカー(2階建て)のトラムは鉄道ファンだけでなく、一般の観光客にも最大のアトラクションのようです。その姿は大きく変わっていないようですが、香港らしい街の光景がほとんどなくなり、真新しい高層ビルの谷間を走っているところも多くなりました。

 2000年にミレニアム電車という前面一枚窓のちょっと近代的なスタイルの電車を登場させましたが、冷房が無いのに羽目殺し窓の為、通気が悪く、評判が悪かったこともあり、以降は更新車も含めて、従来とほぼ同じスタイルになったようです。単車ですがVVVFインバータ駆動の電車が多くなっておりました。
 上環から乗り、香港の中心街を走る姿を納めました。その様子は

をご覧ください。(上のバナーをクリックして、ご覧頂けます。)

MTR(港鐡)

エアーポート・エキスプレス(AEL)の空港の乗り場には改札口もなく、電車の大きな写真とAirport Expressの表示のあるホームドアの向うにとまっており、空港内のシャトル電車のようにも見えましたが、乘って、車内表示を見て、これがAELで、香港市内に直行していることが分かりました。

  

 全長35.2km、標準軌、架線電圧DC1500V、最高速度135kmで、特に、高速鉄道ということでもないようですが、青衣、九龍、香港の3駅しかなく、九龍駅にはあっという間に到着です。ここにも同じようにホームドアがあり、電車を撮ることは出来ません。この鉄道も地下鉄を運営しているMTR(港鐡)で運営しており、ランタオ島の東涌まで行く地下鉄東涌線と同じ線を走っております。
地下鉄は6つの路線がありますが、中心部ではいつも混んでおりました。乗り継ぎ駅の連絡は、初期に作ったものでしょうか?便利なところもありますが、かなりの長い連絡地下道を歩かねばならないところがあります。ラッシュ時、電車はすし詰めで、ホームには人が溢れ、連絡地下道は大量の人の流れがあり、東京の混雑を越えるのでは?と思いました。やはり、香港は超過密都市でした。

 地下鉄の電車は、ロンドンの地下鉄のように断面がかまぼこ形で、窓の構造もロンドン風です。中央に掴み棒がならび、その間にやはり、ロンドン風のつり革があります。しかし、座席はステンレスのボックスシート?です。上は最新の東涌線の電車の車内です。同じ線路を走るAELと基本的には同じ構造で、エアコンがありますが、座席はやはりステンレスです。1994年にキャッセイでロンドンに行く途中、香港での乗り継ぎの時間の観光で乘った時、ステンレスの座席にびっくりしましたが、これが今でも続いているのに、ふたたび、吃驚しました。ほとんどの駅にホームドアがあり、電車は撮れませんでした。昂坪360に行ったとき乗った東涌線の車内から、やっと撮りましたが、クリアには撮れませんでした。

 広州と香港を結ぶ九広鉄道もMTRの経営になりました。

始発の紅磡(Hung Hom )駅は近代的で立派です。ここから、広州へ12往復の列車が出ており、約2時間で行けるとのことでしたが、双方で出入国手続きが必要で、時間がかかり、広州もあまり見るところが無いようですので、断念しました。

 地下鉄との乗り換え駅、九龍塘まで行き、列車を撮ることにしました。新形(右)と旧型(左)の電車は何とか撮れましたが、ホームドアーのないこの駅には、安全監視員がたくさん居て、ホームの端で撮ろうとしましたが、撮らせてくれません。黄色い線から内側にいるから、安全だと言っても、駄目です。ここで、広州直通列車も狙おうとしましたが、諦めました。
 日曜の朝にも拘わらず、ホームは乗客であふれています。40分程で中国の深圳に行けますので、格段に安いショッピングやお食事に行く人達でしょう。香港とのイミグレーションの近くに、巨大なショッピング・モールがあり、ここで、買い物やお食事が手軽に出来るようですが、香港に比べ、治安が悪く、大量の人が押し掛けるので、イミグレーションに時間がかかるようですので、行くのを諦めました。

昂坪360と寶蓮禅寺

 空港に隣接する香港最大の島(香港島の約2倍)のランタオ島にある摩訶不思議な観光スポット、昂坪(コンピン)360に行きました。山中にある香港最大のお寺、寶蓮禅寺が境内の小山の上に世界最大の大仏、天壇大仏を造立し、これに地下鉄の終点、東涌からアクセスする長いロープウエーと山上駅とお寺の間に、中国の古い街並を模した門前町?を作ったものです。お寺自体は100年以上前からあるようですが、大仏さんは1993年に開眼供養をしたもので、ロープウエーは2007年に営業開始したという新しいものです。

東涌駅前に昂坪360のロープウエーの乗り場がありました。普通キャビンと床がガラス張りのクリスタルキャビンがあり、登りのみクリスタルキャビンとして、往復240HK$(約3600円)です。全長5.7km、25分の空中散歩です。先ず、香港国際空港のある島に渡る橋の上を北西に行き、小高い丘の上で、ロープを乗り継ぎ、東涌湾の上を南方向に山を登ります。いくつかの山を越え、もう一度、ロープを乗り換えます。

 やがて、山中に寶蓮禅寺が見え、大仏さまが見下ろしているのが見えてきますと、ロープ上山上駅のある昂坪ビレッジです。

 ここは中国の古い町並みを模して作ったとのことですが、これを通ると寶蓮禅寺の門に達しますので、門前町と言っても良いでしょう。ここに「仏陀ウォーキング」というお釈迦さまが悟りを開く道筋を体験できるアトラクションがあり、このため、仏教のテーマパークとも称しているようです。




寶蓮禅寺の門をくぐると、その脇の丘、木魚峰の上に天壇大仏が鎮座しております。標高520mです。像は台座を含め34mあるそうです。中国のハイテク企業が作ったとのことですが、鎌倉の大仏さまによく似ております。



 本堂の大雄寶殿は大きく、威厳があります。まだ、新しいようで、ご本尊も金色に輝いておりました。大仏さんが大雄寶殿を見下ろしておりました。日本のお寺と雰囲気は良く似ておりますが、境内には石が敷き詰められております。ヨーロッパの石畳みと異なり、表面はフラットで、歩きやすいのですが、何となく、疲れます。

マカオ(澳門)

 香港から南西70km、ターボジェット高速船で1時間のマカオは香港を訪れたとき、ちょっと寄ることが多いようです。現在は中国の特別行政区ですが、香港とは別の行政区で、出入国手続きが必要です。中国の珠江の河口の小さな半島と小島2つの狭いところに、64万人が暮している超過密なところです。現在ではカジノご有名で、そのおかげで、一人当りのGDPは世界でトップクラスのお金持ちの国(地域)なようです。
ポルトガルの植民地であったので、街並みはポルトガル風で、ポルトガル料理もあるようです。カジノには惹かれませんが、香港と違う雰囲気を味わいたいと思い、出掛けました。

 民政総署などのポルトガル様式の建物に囲まれたセナド広場は街の中心のようですが、春節の飾り物や、申年を祝う中国風のはりぼてが飾られており、妙な雰囲気です。

セナド広場から石畳の道を歩くこと、10分、マカオの象徴、聖ポール天主堂跡、教会の全面だけが残り、丘の上にありました。観光客が一杯です。これの右側の丘をさらにエスカレータで登るとポルトガルが築いた砦があり、マカオ博物館があります。

ここから、マカオの街が見渡せます。超過密都市だけあって、家がひしめきあっております。世界有数のお金持ちの街とはとても思えません。

 

 砦の向うに黄金のカジノ、グランド リスボアが聳えております。これを、砦の大砲が狙っておりました。午後は雨になりました。聖ポール天主堂跡の横でタクシーを拾い、ポルトガル料理の「佛笑樓餐廳」に直行です。

人気の店のようですが、午後3時過ぎでしたので、予約無しで、入ることが出来ました。美味しいポルトガルワインにポルトガル風カツレツ、いわしの塩焼きもありました。いわしの塩焼きが大好きなのは、スペインとポルトガルのようです。スペインのグラナダではタパスとして6匹出てきましたが、ここは3匹、少し高いようです。あたまの形が日本のものと少し異なるようにも思いましたが、でも、美味しかった!!

佐敦(Jordan)界隈

 香港島のビクトリア湾に沿った街は近代的なビルが立ち並んだりして、今までの香港のイメージは少なくなりましたが、九龍半島では、昔が残っておりました。メインストリート.彌敦道Nathan Rd)の尖沙咀(Tsim Sha Tsui )辺りは、モダンなショッピング街になって居りますが、北上し、佐敦(Jordan)あたりからは、庶民的な色合いが濃くなります。



佐敦交差点には年季の入って高いビルがありました。九龍にはトラムは走っていませんが、彌敦道を大型ダブルデッカー(2階建て)路線バスが列をなして、やって来ます。改装中でしょうか?バスの後ろのビルには竹の足場が組んであります。



 ひとつ裏町に入ると、乾物などの店や露店などが、古い建物の間の道にところ狭しと並んでおります。「格安護老院」とは安い有料老人ホームでしょうか?こんなところが、終の棲家とはいやですね!!

これは海鮮レストランのようです。このような店の方が中華料理はうまいと言われるようですが、入る勇気はありませんでした。

 香港は美食天国と言われているようです。茶餐庁のようなカジュアルな店、少人数でもいろいろ味わえる飲茶などの店、麺屋など気軽に食事が摂れるところはたくさんありますが、ゆっくり食事が摂れるレストランは予約無では、中々、入れません。折角、香港に来たのだから、一度ぐらいはちゃんとした中華料理が食べたいものと思い、尖沙咀の上海料理店に昼間の開店間際に行き、夜の予約を何とか?取りました。

 薄い味付けの上海料理はお好みです。香港には意外に、お酒を飲む文化が無いようで、カジュアルな店には酒類を置いていないところも多く、あっても、ビールだけであったりします。ビールも香港ビールというものはありません。マカオにはマカオビールがありましたが!実際に香港の人たちは食事の時、あまりお酒を飲んで居ないようです。ここでは、紹興酒もあり、満足しました。しかし、香港人は酒を飲まないか?というとそうではないようです。朝街角には、酔っ払いの残留物がかなりありました。
 
 ビクトリア・ピークにも行きましたし、ビクトリア湾を横切るスターフェリーにも乗りましたが、余白の多い老人の旅でした。雑踏の中でも、ゆったりとした旅を楽しめました。

(2016-3-15)